出展:難病情報センターより
■基本的診療方針
急性膵炎では常に重症化を念頭に置いて、最初の 2~3日間は
全身的な集中管理と治療を実施する。
重症度に応じたモニタリング、呼吸・循環管理、絶食による膵の安静、十分な除痛、膵局所合併症の予防が基本となります。
・発症から2週間までの主たる急性膵炎の死因
SIRS(全身性炎症反応症候群)によって血管透過性が亢進し、
循環血液量が減少することによるショック
・それ以降
膵臓や膵周囲の壊死部分の感染や膵膿瘍など、
感染性合併症から敗血症、多臓器不全
上記より、発症早期には十分な輸液が、後期には感染症対策が重要となる。
■治療内容
(1)鎮痛薬
(2)初期の十分な 輸液
(3)抗菌薬
(4)蛋白分解酵素阻害薬
(1) 鎮痛薬
急性膵炎における疼痛は激しく持続的であり、それを和らげるための鎮痛剤投与を行う。
(2)初期の十分な 輸液
輸液の最も重要な目標は循環動態の安定、すなわち、血圧、脈拍(発症前と同程度)の維持と
適正な尿量の確保を行う。
早期の死亡原因は初期の輸液不足によるショックが多いとされる。
最低0.5 ml/kg/時間の尿量が確保されるよう十分量の輸液を行う。
(3) 抗菌薬
膵臓および膵周囲に感染症を引き起こした場合、致命的な合併症となりえる。
これら膵局所感染を予防することが、重症急性膵炎における抗菌薬投与の目的である。
なお、軽症例での予防的な抗菌薬の投与は必要ないが、胆管炎合併例では投与を検討する。
(4) 蛋白分解酵素阻害薬
急性膵炎に対して蛋白分解酵素阻害薬の静脈内投与が広く行われている。
急性膵炎の本態は膵酵素による自己消化と考えられているが、炎症は膵臓にとどまらず、
膵組織の傷害により過剰に産生された液性因子を介して全身に及ぶことがある。
そのため、重症例では全身への炎症の波及と臓器障害の合併を阻止し、
さらにはすでに合併している臓器障害を適切に治療することが重要になる。
酵素阻害薬投与は膵炎発症後、早期に開始するほど有効性は高いとされる。
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